新築でも油断できない?ホームインスペクションで早めに気づく不具合とは2025.06.09
新築住宅の購入を考えるとき、「ホームインスペクションって本当に必要なのかな?」と迷う方もいるかもしれません。
見た目がきれいに仕上がっていても、実際には見えないところに小さな不具合が隠れていることもあります。
例えば、断熱材の施工ミスや配線の不備などは、住み始めてからでないと気づきにくいものです。
だからこそ、専門家の目で事前に確認してもらうことは、大きな安心につながります。
本記事では、新築のホームインスペクションについて、基本の知識から費用やタイミング、業者選びのポイントまでやさしく解説していきます。
新築なのに!?見た目ではわからない施工ミスの実態とは

新築の家でも、見た目ではわからない施工ミスが意外と見つかることがあります。
きれいに仕上がっていても、実は中で小さなトラブルが起きていることもあるのです。
「新築=完璧」は思い込み?意外と多いトラブルとは
「新築だから不具合なんてないはず」と思っている方は多いかもしれません。
ところが、実際には最初から小さなミスが紛れ込んでいることがあります。
例えば、コンセントの配線がされておらず電気が使えなかったり、浴室の換気ダクトがつながっていなくて、湿気が天井裏にたまってしまうケースもあるのです。
また、アースが未接続だったという例もありました。見た目はきれいでも、内部の仕上げや配線にミスがあると、あとから思わぬトラブルにつながってしまいます。
丁寧に建てられたように見える住宅でも、現場では人の手によって施工されているため、新築でも小さなミスが起きる可能性はどうしても残ってしまうのです。
こんなことが本当に?実際に見つかった不具合事例
実際のホームインスペクションでは、見た目だけでは分からない不具合がいくつも見つかっています。
例えば、床下に水たまりができていて、湿気でカビが発生していたケースがありました。通気がうまく取れていない構造だったことが原因です。
また、浴室の換気ダクトが外れたままになっていて、蒸気が天井裏に流れ込んでしまう状態だった例もあります。
小屋裏では、本来あるはずの構造部材(束)が取り付けられていないままになっていて、支えとして不十分だったこともあります。
さらに、紫外線に弱い配管が屋外に使われていたり、断熱材が一部抜けていたりといった、気づきにくいミスもありました。
一見すると分かりにくいような不具合は、プロの目でなければ気付けないことが多いのが特徴です。
インスペクションはいつやるのが正解?
新築住宅のインスペクションは、実施する時期によって対応範囲や安心感が少し変わってきます。
どのタイミングにも良さがあるので、違いを知っておくと安心です。
契約前?内覧会?引渡し前?それぞれのメリットと注意点を解説
新築住宅のホームインスペクションは、タイミングによってメリットや対応できる範囲が変わってきます。
以下のように、それぞれの実施時期ごとに特徴をまとめました。
タイミング | 主なメリット | 注意点・補足 |
契約前 | ・重大な欠陥があれば購入を見送れる・価格交渉に活用できる | ・予約や調整に余裕を持つ必要あり |
内覧会時 | ・建物が完成しているので状態を直接確認できる | ・施工後の内部構造までは確認できない |
引渡し前 | ・補修の必要があれば対応を依頼できる | ・契約後のため、大幅な条件変更は難しい |
特に建売住宅の場合、契約前のタイミングでインスペクションを受けられると理想的です。
完成済みの物件でも、専門家の目で細かい不具合や見落としをチェックしてもらうことで、住み始めてからの不安を減らせます。
また、契約後であっても、引き渡しの前にインスペクションを入れることで、不具合が見つかった際には修繕対応をお願いすることも可能です。
完成後には見えない場所をチェックするなら「工事中」もおすすめ
建物の工事が進んでいる最中にインスペクションを受けると、完成後では見えなくなってしまう部分までしっかりと確認してもらえます。
例えば、基礎の状態や構造金物の取り付け、断熱材の配置などは、仕上げが済んでしまうと目視での確認が難しくなります。
建物の工事中のタイミングで専門家がチェックすることで、万が一の施工ミスや不備を早い段階で指摘でき、結果的に安心して住める家づくりにつながります。
注文住宅の場合でも、工程ごとに複数回のインスペクションをお願いする方も多く、全体の品質を保つ意味でも有効な方法といえるでしょう。
ホームインスペクションの当日の流れについて
新築住宅でホームインスペクションを行う当日は、依頼者・施工会社・インスペクターの3者で、事前に決めた時間に現地で集まります。
最初にインスペクターから、当日の流れや所要時間の説明があります。その後、外まわりから順に調査が進みます。
■当日の主な流れ
- 待ち合わせ・ご挨拶
現地で依頼者とインスペクターが合流し、簡単な説明があります。 - 調査スタート
外壁や屋根、基礎といった外まわりからチェックを始めます。 - 室内の確認
天井・壁・床・サッシ・水回り設備などを丁寧に確認します。 - オプション調査(希望があれば)
床下や屋根裏にも進入し、断熱材・構造・配管の状態などを確認します。 - 当日の説明・質問タイム
調査の最後に、気づいた点を口頭で伝えてもらい、質問にもその場で答えてもらえます。
全体の所要時間は、建物の広さや調査内容にもよりますが、基本的には2〜3時間ほどで完了します。
ホームインスペクションっていくらかかるの?

ホームインスペクションを考えるとき、「いくらくらいかかるのだろう?」と不安に思う方も多いかもしれません。
建物の大きさや調査内容によって費用は少しずつ変わってきます。
一般的な費用相場と、業者によって変わるポイント
新築住宅のホームインスペクションには、「どれくらい費用がかかるのか?」と不安に感じる方も多いと思います。
実際の料金は、建物の大きさや調査範囲、地域によっても変わってきますが、目安としては以下のようなイメージです。
建物の種類 | 費用の目安 | 内容の例 |
新築戸建て | 5〜7万円程度 | 外壁・屋根・室内・設備の基本チェック+報告書など |
オプション追加 | +2〜3万円/1カ所 | 床下や屋根裏への侵入調査、構造金物や断熱材の確認など |
※延床面積が広い場合や遠方での依頼では、別途料金が加算されることもあります。
また、業者によってサービスの質や報告書の内容も違ってきます。
例えば、検査の丁寧さ、説明のわかりやすさ、写真の多さなどが変わるため、「安いから」と価格だけで決めると、あとから後悔してしまうこともあります。
申し込みの前に、見積書を確認したり、過去の実績や口コミをチェックするのも安心材料のひとつです。
床下や屋根裏の調査は追加するべき?
新築住宅でも、床下や屋根裏に思わぬ不具合が隠れていることがあります。
例えば、断熱材がきちんと敷かれていなかったり、構造を支える金物が正しく取り付けられていなかったりといった事例です。
床下や屋根裏と言った場所は、引き渡し後にトラブルが起きても目視では確認しにくいため、見落としやすいポイントになっています。
オプション料金は、床下・屋根裏それぞれ1カ所あたり2〜3万円ほどが一般的です。調査では以下のような点がチェックされます:
- 床下:基礎のひび割れ、シロアリ被害、配管の水漏れ など
- 屋根裏:梁や桁の割れ、断熱材の施工ミス、雨漏りの形跡 など
費用は少しかかりますが、万が一の不具合を早めに見つけるための“安心料”と考える方も多くいらっしゃいます。
特に長く住む家であれば、初期の段階で確認しておくことは、将来的なトラブルの予防にもつながります。
業者選びに迷ったらチェックするべきポイント
ホームインスペクションをお願いするにあたっては、どんな業者に依頼するかがとても大切です。
安心して依頼するためにも、事前にチェックしておきたいポイントを紹介します。
名前や資格よりも見てほしい“中立性”と“実績”
ホームインスペクションをお願いしようと思ったとき、名前の知られた会社や「一級建築士」といった資格に目が向くのは自然なことです。
ただし、住宅の調査において本当に大切なのは、“中立性”と“過去の実績”です。
例えば、施工や設計を自社で行っている会社がインスペクションも担当する場合、立場が重なってしまうことで、完全に公平な目線での診断が難しくなることがあります。
一方で、どこにも属さない独立した立場で調査を行う事務所なら、利害関係に囚われることなく、住む人の目線でしっかりチェックしてくれます。
また、住宅の状態を見極めるには、現場での豊富な経験も欠かせません。
経験を積んだ専門家だからこそ、表面だけではわからない小さな違和感にも気づくことができるのです。
担当者と直接やり取りできるかも安心材料のひとつ
ホームインスペクションは、一生に何度も経験することではありません。
そのため、実際に調査をしてくれる人としっかり話ができるかどうかは、大きな安心につながります。
例えば、問い合わせの段階では丁寧でも、調査当日は別の人が来て「話が伝わっていない」と感じることがあると、少し不安になってしまうかもしれません。
出来れば、最初の相談から当日の調査、結果の説明まで、一人の担当者が一貫して対応してくれる体制のほうが安心です。
分からないことをその場で聞けたり、追加で確認してもらいたい点があればすぐに相談できたりと、柔軟にやり取りできるのは心強いポイントです。
初めてインスペクションを依頼する方でも、「ちゃんと話せる」「説明がわかりやすい」と感じられると、より納得してサービスを受けられるはずです。
建売と注文住宅、インスペクションの必要性はどう違う?
建売住宅と注文住宅では、完成までの流れが異なります。
そのため、インスペクションを受けるタイミングやチェックしたい内容にも少しずつ違いがあります。
建売住宅は“完成品の確認”がカギ
建売住宅では、既に完成した家を購入する前に、状態をしっかり確認することが大切です。
外壁や屋根、水回りなど、目に見える部分の仕上がりや不具合がないかをチェックします。
建築途中の様子は見られないため、完成後のインスペクションでしか確認できない箇所を丁寧に見てもらう必要があります。
気付きにくい不備があることもあるので、契約前にチェックしておくと、トラブルを避けやすくなりますし、場合によっては価格の交渉材料になることもあります。
注文住宅は“工事中の見えない部分”がポイントに
注文住宅では、工事中のチェックがとても重要になります。
例えば、基礎や構造、断熱材の設置などは、完成してからでは見えなくなってしまう部分です。
だからこそ、家づくりの途中でインスペクションを入れることで、見落とされやすい不備にも気づくことができます。
第三者の目で確認してもらうことで、安心して家が完成するのを待つことができますし、小さなミスも早めに修正できます。
まとめ
新築住宅はきれいに仕上がっているぶん、見た目だけで安心してしまいがちですが、実は目に見えないところに小さな不具合が隠れていることもあります。
配線のミスや断熱材の抜け、床下の湿気などは、住み始めてから欠陥に気付くケースも少なくありません。
せっかくの新しい住まいだからこそ、より安心してスタートを切るために、ホームインスペクションを検討してみてはいかがでしょうか。